行く春や鳥啼き魚の目はなみだ 春雨や二葉に萌ゆる茄子種 春風に吹き出し笑う花もがな 貓の戀やむとき閨の朧月 夏近しその口たばへ花の風 ほろほろと山吹散るか滝の音 夏草や兵どもが夢の跡 五月雨を集めて早し最上川 六月や峰に雲置く嵐山 水無月や鯛はあれども塩鯨 ほととぎす鳴く鳴く飛ぶぞ忙はし 閒かさや巖にしみ入る蟬の聲 おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな 秋風の吹けども青し慄の毬 物いへば唇寒し秋の風 あかあかと日はつれなくも秋の風 秋深き隣は何をする人ぞ 枯枝にからすのとまりけり秋の暮 この道や行く人なしに秋の暮れ 荒海や佐渡に橫たふ天の川 名月や池をめぐりて夜もすがら 道のべの木槿は馬に食はれけり 菊の香や奈良には古き仏たち 初雪や水仙の葉のたわむまで 初時雨猿も小蓑をほしげなり 箱根こす人もあるらしけさの雪 馬をさえながむる雪のあしたかな いざ行かん雪見にころぶ所まで 月白き師走は子路が寢覚め哉 ふるさとや臍の緒に泣く年の暮 ねぎ白く洗ひたてたる寒さかな 木枯に巖吹きとがる杉間かな 旅に病んで夢は枯野をかけめぐる いざ子ども走りありかん玉霰 海暮れて鴨の聲ほのかに白し 山裡は萬歳遅し梅の花
綿綿春雨懶洋洋, 故友不來不起床。
疲憊不堪借宿時, 夕陽返照紫藤花。
大竹林裡明月光, 間聞杜鵑聲感傷。
往日兵燹之地, 今朝綠草如茵。
炎炎赤日當頭照, 蕭瑟秋風席地梳。
奈良秋菊溢香馨, 古佛滿堂寺廟深。
古池冷落一片寂, 忽聞青蛙跳水聲。
昔日雄關今不見, 秋風掠過竹桑田。
芒鞋斗笠, 春夏秋冬又一年。
飄遊旅次病中人, 頻夢徘徊荒野林。
行く春や鳥啼き魚の目はなみだ 春雨や二葉に萌ゆる茄子種 春風に吹き出し笑う花もがな 貓の戀やむとき閨の朧月 夏近しその口たばへ花の風 ほろほろと山吹散るか滝の音 夏草や兵どもが夢の跡 五月雨を集めて早し最上川 六月や峰に雲置く嵐山 水無月や鯛はあれども塩鯨 ほととぎす鳴く鳴く飛ぶぞ忙はし 閒かさや巖にしみ入る蟬の聲 おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな 秋風の吹けども青し慄の毬 物いへば唇寒し秋の風 あかあかと日はつれなくも秋の風 秋深き隣は何をする人ぞ 枯枝にからすのとまりけり秋の暮 この道や行く人なしに秋の暮れ 荒海や佐渡に橫たふ天の川 名月や池をめぐりて夜もすがら 道のべの木槿は馬に食はれけり 菊の香や奈良には古き仏たち 初雪や水仙の葉のたわむまで 初時雨猿も小蓑をほしげなり 箱根こす人もあるらしけさの雪 馬をさえながむる雪のあしたかな いざ行かん雪見にころぶ所まで 月白き師走は子路が寢覚め哉 ふるさとや臍の緒に泣く年の暮 ねぎ白く洗ひたてたる寒さかな 木枯に巖吹きとがる杉間かな 旅に病んで夢は枯野をかけめぐる いざ子ども走りありかん玉霰 海暮れて鴨の聲ほのかに白し 山裡は萬歳遅し梅の花
綿綿春雨懶洋洋, 故友不來不起床。
疲憊不堪借宿時, 夕陽返照紫藤花。
大竹林裡明月光, 間聞杜鵑聲感傷。
往日兵燹之地, 今朝綠草如茵。
炎炎赤日當頭照, 蕭瑟秋風席地梳。
奈良秋菊溢香馨, 古佛滿堂寺廟深。
古池冷落一片寂, 忽聞青蛙跳水聲。
昔日雄關今不見, 秋風掠過竹桑田。
芒鞋斗笠, 春夏秋冬又一年。
飄遊旅次病中人, 頻夢徘徊荒野林。